免疫とは、免疫を受け持つ細胞
免疫とは体内に侵入する微生物や体内の腫瘍細胞を排除する
働きと言えるでしょう。
そのおかげで、細菌、ウイルス、カビ、寄生虫などから体を守り、また
ガン細胞を殺すことができて、知らないうちに健康を維持しています。

免疫の働きが低下すると風邪をひきやすくなったり、
ガン細胞が増える心配が高まります。

免疫の働きが望ましくない方向に働くこともあります。
花粉やダニに過敏に反応してアレルギー症状を起こしたり、
自分の組織を攻撃して自己免疫病という難病を起こすことも
報告されています。

健全な免疫機能をたもつことがきわめて大切だと思われます。

免疫を受け持つ代表的な細胞には
好中球、マクロファージ、NK細胞、T細胞、B細胞があります。

好中球とマクロファージは細菌やカビを貪食して殺します。
マクロファージが処理しきれない場合は、リンパ球のT細胞に
連絡し、キラーT細胞やB細胞の抗体が戦いに参加します。

ナチュラルキラー(NK)細胞は、常に体内を巡回監視して
ガン細胞やウイルス感染細胞を見つけて殺します。



免疫が低下する原因
【免疫を低下させる原因は】 タンパク質不足  適量が必要、免疫細胞、抗体、補体、サイトカインの生成に必要。 脂肪の過剰摂取  過剰な、特にコレステロール及びω6多価不飽和脂肪酸摂取が免疫を抑制。 必須脂肪酸不足  免疫能が低下する。 魚油の過剰摂取  炎症における好中球の動きを低下させる。 ビタミンなど不足 ビタミンA、βカロチン、B群(特に葉酸、B5、B6、B2、B12)、C、D、E           銅、ヨード、鉄、亜鉛、マグネシウムの不足は、免疫能を低下させる。 鉄の過剰     遊離鉄が活性酸素を生成し、傷害組織の清掃にマクロファージが疲れる。 砂糖過剰摂取   80gの砂糖(蜂蜜、果物ジュース)は白血球の働きを1〜5時間半減する。 アルコール過多  たっぷりの飲酒はアル中の原因、白血球の特に好中球の動員を抑制する。 胃腸機能低下   胃酸分泌低下は、未消化のペプチッドを生成し、抗原となりやすい。 食品アレルギー  食品の微量(食品アレルギー)が、侵入する細菌よりも免疫系を疲れ果て          させる.傷ついた腸は毒素を容易に通し、免疫を傷害する。 アレルギー    花粉、ほこりに対するアレルギーが免疫を疲れさせる。 老化       早すぎる老化は胸腺にダメージを与えT細胞の産生と活性が低下。 休養不足     NK細胞の活性を低下させる。 ストレス過剰   免疫の多くの段階を直接妨げる、肉体的な他、精神的うつ状態、孤独も。 閉経期      ホルモンが不調となり、侵入病原体にたいする免疫能が抑制される。 運動不足     免疫細胞が在住するリンパ腺の流れには、運動による筋肉の収縮が必要。 過剰な運動    増加する呼吸がフリーラジカルの生成を増し、免疫防衛を役たたずにする。          傷ついた腸は、免疫を傷害する毒素の体内侵入を許してしまう。 肥満       白血球の殺菌作用と抗体産生作用を低下させる。 重金属汚染    カドミウム、鉛、水銀は抗体産生を妨げ、白血球の殺菌能を低下させる。 殺虫剤汚染    T細胞、B細胞の働きを抑える、胸腺の老化を早める。 医薬品摂取    アスピリンの様な抗炎症剤、ステロイドは、抗体産生低下、広く免疫を抑制。 毒性化学物質汚染 シリコンインプラント、有機溶剤はNK細胞の活性を妨げる。 感染源に過度接触 ウイルス、細菌、カビ、寄生虫など免疫系の負担が過剰となる。 腸管カンジダ増加 菌により免疫複合体を形成し、直接免疫を抑制する。 大気汚染     亜硫酸ガス、酸化窒素、オゾン、暖房の乾いた空気は粘膜防衛を傷害する。 ワクチン接種   1〜2週間、免疫応答を弱める。 ひどい外傷    事故や手術における炎症応答は、免疫系に負担をかけすぎる。 抗生物質長期使用 一般免疫を妨げ、カンジダの増殖を招き、細菌の耐性を招く。 抗ガン治療    手術、放射線治療、抗ガン剤投与が、意に反して免疫系を抑制する。

免疫を高めるには
【免疫能を高めるには】 良い食事     適量の蛋白質、低脂肪食、野菜、果物、高繊維食、全粒穀類、茸、海草、ヨーグルト。 アレルギー食品  食品アレルギーを調べ、アレルギー食品を食べない。 十分な栄養素   ビタミンA、B群、C、D、E、コエンチームQ、亜鉛、セレン、銅を十分に。 特殊食品     乳酸菌、茸類。 歩く       座業の人は呼吸器感染にかかりやすい、1日45分歩けば、感染は半減。 アロマテラピー  ラベンダー、ローズマリー。 ハーブテラピー  エキナセア、ゴールデンシール、ガーリック、朝鮮人参、シベリア人参。 十分な休養と睡眠 睡眠中に免疫能が構築される。 早朝の日光    数分間、朝日を浴びると免疫が刺激される。 明るい心     良く笑うと免疫系が活性化する。

免疫系の働きにビタミンは大切です

【免疫とビタミン】
ビタミンA欠乏  ひどい欠乏は胸腺、リンパ組織などの萎縮が起こり、細胞性、液性免疫
         の機能低下となる、白血球の遊走が低下する。
         抗体産生低下、特にIgGが減少する、腸管のIgA分泌も低下する。
         T細胞、B細胞の分裂増殖や抗体産生の刺激応答が低下する。
         粘膜防衛が低下する、傷の治癒が遅れる。
Aの適量補給   NK細胞など細胞性免疫を高めるが、過剰なAは抑制する。
β-カロチン補給  NK細胞が活性化、T細胞が増加、抗体産生も増加した。

ビタミンC欠乏  特に細胞性免疫系の白血球貪食能の低下が起こる。
ビタミンC補給  C1g/日、摂取77日後、IgA、IgM、C3レベルが増加した。
         細胞性免疫の増大や貪食細胞の遊走性と食作用の増大による殺菌
         活性の亢進が起こる、Cが殺菌の過程で過剰に生じる活性酸素を補足
         し白血球細胞を保護するためと考えられる。
         その他、NK細胞の活性化、ウイルスの不活性化作用、インターフェ
         ロンの産生促進、抗体産生促進作用がある。
ビタミンC過剰  ひどいストレス時に、C過剰摂取は免疫能を低下させる可能性がある。
         ストレスマウスに多量のCを与えると、血中副腎ホルモン濃度が上
         がり、免疫応答が抑制された。

ビタミンE過剰  好中球の殺菌能の低下と増殖応答が低下する可能性がある。
ビタミンE欠乏  リンパ組織の萎縮、特にT細胞系の組織の萎縮が著しい、ヘルパーT
         細胞機能の低下、NK細胞の活性低下、T細胞のキラー活性の低下、
         白血球走化能が低下、また抗体産生の低下などが起こる。
ビタミンE補給  抗体産生細胞が増加、細胞性免疫も高まる。
         E投与は老人の免疫システムを高めるのに重要と報告されている。

B群欠乏     細胞性、液性免疫の両方が低下する。
ビタミンB1欠乏  胸腺萎縮、T細胞生産低下、抗体減少が起こる。
ビタミンB2欠乏   胸腺、脾臓が萎縮し、リンパ球特にT細胞が減少、また抗体産生も低下。
ビタミンB5欠乏  液性免疫の低下で、抗体産生と分泌が低下する。
ビタミンB6欠乏  核酸、タンパク質の合成、細胞増加にB6が必須なので、他のB群欠乏
         より影響が大きい、胸腺の萎縮が著しく、T細胞、B細胞の産生減少と
         活動低下で抗体反応が消失する、骨髄産生細胞が減少する、好中球の
         数が減り貪食能も低下する。
ビタミンB12欠乏 リンパ球数が減少し、好中球の機能が低下する。
ビタミンB12補給 B12はヘルパーT細胞の働きを高めて、抗体産生を促進する、T細胞
         分化誘導、NK細胞の活性促進作用がある。
葉酸欠乏     リンパ球数低下、T細胞依存の抗体産生が低下する。

ビタミンD    腫瘍細胞の増殖を抑制する、骨髄性白血病細胞をマクロファージへ
         分化させる、インターロイキン-2の産生を抑制する。

CoQ      免疫抗体の生産を促進し、白血球の働きを高める。

適量のタンパク質 タンパク質が欠乏すると免疫能が低下する。
脂肪は控えめに  油脂の過剰摂取は免疫能を低下させる。
砂糖の過剰摂取  細胞性免疫と液性免疫をを低下させる、動物実験で白血球貪食能を
         低下させ、抗体産生が減少した。
         


細胞性免疫と液性免疫

Th1を促しTh2を抑える

身体が感染症と戦う2つの異なった方法が存在します。 細胞性免疫能(Th1)と液性免疫(Th2)です。 液性免疫(Th2)は、細胞外で侵入異物を補足する抗体を生産します。 細胞性免疫能(Th1)は、感染の際に、細胞の中の微生物か、ウイルスに 感染した細胞や、ガン細胞など異常細胞を攻撃するように キラーT細胞(CD8)に指示します。 多くの場合、感染は免疫系の両分岐のどちらかで戦われ、 感染を制御するには、1つだけが必要です。 エイズについて言えば、HIV感染が無症候性から重い病気に 進展するとき、免疫応答が、効果的なTh1から、 効果のないTh2へ移行します。 ○免疫系分岐の、Th1の働きが低下し、Th2の働きが亢進すると、 さまざまな慢性の病気を招くと言われます、これらはエイズ、 慢性疲労症候群、カンディダ症、多重アレルギー、 多重ケミカル過敏症、ウイルス性肝炎、ガンなどです。 ○免疫系のこの2つの分岐で、 Th1を刺激し、Th2を抑制することでバランスがとれれば、 これらの慢性の病気と関連する症状の多くが減少するか、 消失すると言われます。 体表の皮膚と内部の粘膜は、好ましくない病原体を避ける 自然の保護膜です。 わずかなピンホールがある漏れやすい腸は、ドアが開いている砦に似て、 敵(ウイルス、かび、細菌、寄生動植物など)は中に容易に入り込めます。 インターロイキンー12は、キラーT細胞反応を刺激し、粘膜中の キラーT細胞は、ウイルスが体内に侵入する前に止めます。 粘膜表面の粘液に存在するIgAは第一線のバリケードで、 正常なIgAを回復することは、また、過度のIgE(食物アレルギーと 化学アレルギーに関与)生産を減少させるために重要で、 免疫回復の重要な第一歩です。 ○Th2系統に誘導する因子が3つあります。 1、消化の不完全な、部分的に消化された、タンパク質と他の 食物粒子が腸管から吸収されると、これに対してIgGとIgE抗体の 生産を増加させます。 この点を考慮すると、消化酵素が治療上に有効だと見られます、 また、食物をゆっくり噛み、多くの唾液を混ぜること、 空腹の時だけ食べることが大切です。 2、白砂糖、ブドウ糖およびすべての加工食品(コカコーラ、清涼飲料、 キャンディ、ケーキ、パイ、甘いロールなど)の摂りすぎは、 マクロファージ、ナチュラルキラー細胞および他の白血球の機能を弱め、 すべての感染症に対する抵抗力を弱めます。 3、大部分の植物油(大豆、キャノーラ、紅花、トウモロコシ、ヒマワリ)は n-6脂肪酸(リノール酸)が多く、加熱するとトランス脂肪酸が生成します、 これらで作られた食品(フライドポテト、ポテトチップ)を過剰に消費すること。 高度なリノール酸・トランス脂肪酸の植物油は、Th2応答を刺激し、 Th1応答を弱めます。 ○Th1系統への誘導 オメガ-3の脂肪酸 魚油(マグロ、サケ、サンマ、イワシ、サバ)、及びエゴマ油、亜麻仁油は オメガ3脂肪酸を含み、細胞性免疫のTh1応答を促し、 他方、ILー6、TNF、中性脂肪を減少させます。


Th1応答を高め、Th2応答を抑えるには

免疫基本応答図



免疫応答図


ベータグルカンと免疫細胞 (図表、仮説)
1940年代、ルイス博士が、パン酵母の細胞膜粉末に免疫を高める
作用があることを発見し、チモサン(Zymosan)と名付け研究した。

1960年代、チュラン大学のニコラス博士は、パン酵母の免疫刺激
有効成分をβ-1、3-D-グルカンと認め、純粋物質の抽出に成功した。

1980年代後半、ハーバード大学ジョイス博士は、マクロファージ
細胞膜上のCR3受容体が、β-1、3-D-グルカンと結合し、その結果
マクロファージ活性化されることを発見した。
それ以後、数百の研究が報告されている。 

最近の研究では、β-1、3/1、6-D-グルカンが結合できる受容体は、
マクロファージの補体3レセプター(CR3)だけでなく数個あると言う。

ベータグルカンの有効性は、1、3結合した三重の螺旋状に配列された糖分の
残基が1、6側鎖に結合していることが重要で、これらの鎖がマクロファージ
のレセプターに結合する。

ベータグルカンと免疫細胞
ウイルス感染免疫応答の経過図表

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